アカデミーヒルズ「ローソン社長新浪剛史氏が描く、イノベーション・フロンティア」メモ

本日アカデミーヒルズで開催された『日本元気塾プレセミナー ローソン社長新浪剛史氏が描く、イノベーション・フロンティア」に参加してきた。講義のメモを取ったので、Blogに残しておくことにする。
新浪社長の熱い「志」に触れることができ、非常に有意義な2時間でした。しかし、新入社員の1/3が外国人ってのもすごい話だ。イノベーションを生み出し、そして持続させるために、Diversityを重要視していることが伺える。そして経営理念について語る新浪社長の話を聞きながら、「志」を持ったトップに率いられるローソンの社員は、きっと幸せになることだろうな、と思った。

●Intro
・今の日本を『再生』するのは無理。新しい資本主義を『創造』していくことが必要
・良い経営者は数字でモノを語らない


●ローソンの現状
・過去CVSに求められたValue
 時間・距離・それなりの接客・クリンネス・・・これらの価値によりCSを満たしていた
・外部環境の変化(今の不景気とか)により、3つの価値が変わってくる
 客がヒマになった今、時間的価値が相対的に小さくなってきている
 昔は客が忙しかったからCVSが重宝された
  「顧客価値」が大変化
   時間的価値↓ 距離の価値↑
・今の状況では、去年のデータは5-6割は使えない
 CVSは元々変化対応業であるが、こんなに劇的な変化は今までない
  ⇒中央集権型組織ではこの変化に気づけない!!
・今までは・・・
 忙しいお客様をサポート(時間の節約価値)
 これからは・・・????
 次に何がKSFになるのかわからない
 新しいモデルの必要性が高まってきている
  ⇒誰が考えるのか?組織の中の個々人がそれらを考え、今の状況を乗り越えられるようになれば、組織として本物になれる
・経営としては、足元の数字は絶対大事。でも5年先を追うのも同じくらい大事。
・この「大変化」を乗り越えるには、プロダクトアウトからマーケットインに代わらないとダメ
 リスクに飛び込んでいかないと、変化を乗り越えられない
 ブルーローソンのROIは22-23%、ナチュラルLは25%、Lawson100は22%
 最初はナチュラルも100も赤字続きだった。リスクを負ったからこそ今がある
・戦略を思いつくやつはたくさんいる。けど、それを実行できるやつはほんの一握りしかいない。

・このままではヤバイことになると誰もが思っているが、リスクをとって変化を生み出す勇気はなかなか持てないもの
 ⇒実行力がモノをいう

・現状打破は改善では成し遂げられない。イノベーションによってのみ現状は変えられる
・Big Pictureをとらえよ!!
・みんなが「おかしい」と思っていることはいつか必ず変わるものだと信じる。どれだけ変化に時間がかかるかの読みは大切だが。
・とにかくおかしいものを「おかしい」と思える気持ちが重要


イノベーションのステップ
Step1:大きな流れをつかむ(社会のニーズ)
Step2:社会が我々に求めていることとのGAPを知る
  ⇒「おかしい」と思う気持ちが重要
Step3:GAPを埋める為の戦略を立て、実行する
  ⇒イノベーションに失敗はつきもの。人事評価を大切に行えば、失敗を通じて(良い意味での)変な人が育つ
  ⇒「超亜流」のススメ

・Lawson100
 顧客の声(おばあちゃん)からヒントを得た
 適量小分け戦略・・・料理をする人にとって、家の冷蔵庫代わりになる
 99ShopにTOB
  ⇒自分たちでやっているから、99Shopの価値がよくわかる
 今は成功していると言えるけど、当初はまっかっか(25億の赤字)
  ⇒それでもGAPを信じてやり続けた・・・トップのコミットメント
  ⇒苦労をした分、人はめちゃめちゃ育った
・その他色々な形態のLawson
 ちょっとしたハンドルの遊びが顧客の心にヒットしたりする
 うまくいったり、いかなかったり、の繰り返し


●米倉氏・新浪氏対談
・『これを知る者はこれを好む者に如かずこれを好む者はこれを楽しむ者に如かず』←(論語の一節です)
・元々新しいことは好きな会社だった
 だが、粘り強くやるのはダメだった
・25億の損にどうやって耐えた?
 損は出ているものの、少しずつ変化が見て取れていたので、やれるのではないかと思った
 実際に店に見に行った
  ⇒・客層がブルーローソンとまったく違うことに気づいた
 実際に客はそこそこ入っている
  ⇒ならば規模の経済性が効けばいけるかもと思った
 Lawson100で一番売上が高いのは恵比寿店
  ⇒やってみなければわからない
・支店長会議にTV会議システムを導入
 本社に集まる時間を現場に行く時間に使って欲しいという想い
・IT投資で空いた時間で、現場を回る
 自分で体感、超大事
 気力と体力が必要
・IT投資で空いた時間で、ソフトボールorフットサルをやらせている
 社内のコミュニケーション強化は大切だと思っている

・新形態の店舗のアイデアは、すべて社外から来た人たちが考えている
 これこそが、多様性が持つ価値だと考えている
・過去の文化を知らないのは逆にメリットになっている
 他の誰かがルールを破れば、既存の人間もついてくる
・カスタマーシェアが大事になってくる時代
 マニュアルサービスより濃厚なサービスが受け入れられる

・以前の対談で田原総一郎が「なぜ朝まで生テレビを後継者に譲らないのかと聞かれていわく
 ⇒「自分から譲る行為に意味はない。自分を乗り越えていくやつがいれば、そいつが自分のポジションを奪っていくだけの話」
・43歳で社長。絶対できないと思ったけど、やってみたらできるもの
 ⇒ポジションが人を育てると言うことを実感
・すべての人がCEOを目指す必要はない。どういうポジションに自分が向いているのか、自分はどんなキャラか、自分は何を目指すのか、はっきりとさせておくべき
・自分のロードマップを作っておく。自らがキャリアをつくる、という感覚を持つ。
・LEOCでの経験。規模が小さかったので、上から指図されずに済んだので、自分の考えで色々やれてよい経験ができた。

三菱商事がLawsonへ投資する際「これは10年の計だから」と言って、部長級を飛び越して課長級を集めて勉強会を行った
・当時自分はLawsonへの投資に反対したが、上はGoサインを出した。今にして思えば、自分には見えていなかった「GAP」が当時の上層部には見えていたのかも
・当時、ダイエーが30%株式を保有している中、20%の株式を取得した(1700億円)。経営権も取れないのに1700億円も投資するなんてと思っていたが・・・当時の部長は「ダイエーは近い将来株式を手放さざるを得ない状況に陥る」と予測し、不利な条件にもかかわらずGoを出した(相当リスクは高いが・・・先見の明か?)。

・Lawsonへは出向と言う形ではなく、三菱商事依願退職してから行った。
 ⇒良い状況下にない会社だったから、そのくらいの決意を持っていないとダメだと思った
・自分の色を出せるのに、4年はかかった
・経営者に必要なのはPassion。頭も大切だけど、最後は絶対Passion。
・短期的な成功と長期的な成功。両方大事にする価値観を大切にしている
 ⇒最近の株主・機関投資家は短期的成功に偏りすぎている
 ⇒なんだかんだ言って、最後は「人」に投資するしかない!
・成長はとっても重要。
 ⇒成長がイノベーションのエンジン
 ⇒成長するためにいろいろなことにトライしている
 ⇒人には力がある。力を発揮するための機会を与えることが大切
・部下には自由にやらせているが、財務的な縛り(何年後にROIでいくら、とか)はちゃんと入れないとダメ
・Diversityのマネージメント
 中途入社を積極的に採用したり、今年の新入社員120名のうち外国人が40名いたり。
 中途入社の人には社長自らコミュニケートするなど、ケアをしっかりしている
 なんだかんだ言って異分子は排除されがち。ケアをしっかりしないとDiversityは機能しない
 偏見を持たずにすごいことをすごいと認められることがDiversityの良さ
 Diversityには結構金がかかる。それでもやらなきゃ
  ⇒Diversityはイノベーションの源だから

・若い頃、入社してから5年間は土日のどちらかを必ず勉強に当てていた。また毎日遅くまで残業しながら、先輩達の体験談を色々と聞いて勉強していた。チャンスはみんなに平等にある。それどう生かすのか、その後の努力の差が結果につながる
 ⇒何かを得たいのなら、何かを捨てなくてはいけない
・今の一番の夢は、ローソンの従業員と従業員の家族の満足度がNo.1になること
 ⇒だからこそ経営理念を作り変えた
 ⇒でもまだまだ理念は浸透できていないし、従業員満足度はまだまだだと思っている。継続してやり続けていかなければいけないと感じている
・パワーの源は、「有言実行」!