直球勝負の会社―戦後初の独立系の生命保険会社はこうして生まれた/出口 治明

戦後初の独立系生保を立ち上げた出口社長の一冊。
Wikipediaなどを見るに、どうやら出口氏は生保業界では「伝説の人」なのだそうだ。恥ずかしながら、私はこの本を読むまで、そこまですごい人だとは知らなかった。副社長の岩瀬氏のことは「ハーバードMBA留学記」を通じて知っていたのだが。

「わかりやすくシンプルな商品」「プッシュ型販売をやめてプル型販売に徹する=お客様に選んでいただく」「情報公開を徹底して真っ正直な経営を実現し、お客様の生保不信を払しょくする」新しい三位一体構造を実現することこそが、生命保険をよりよくする道ではないでしょうか。少なくとも私はそう信じています。そこで私は、新しい会社をどこに出しても恥ずかしくないど真ん中の直球勝負の会社にしようと決意しました。
「直球勝負の会社」p3

私が素敵だなと思うのは、「自分はこういう会社を作りたい」という思いが明確で、自分が描く理想の姿を心から信じ切っているんだな、と思えること。この強い思い、信念こそが経営者には必要なものだと思う。この本の前半部分を読むと、出口氏がライフネットに賭ける思いが伝わってくる。保険業界の同業者としてはライフネットはライバル企業の一つとなるわけだけど、起業家の卵にとっては、先輩ベンチャー企業の一つとして、是非頑張ってほしいものだと思う。

システム部門担当者としては、ライフネットのシステム構築に関する章は興味深く読ませていただいた。私も昔LIFE/J導入のお手伝いをしたことがあるのだけれど、あのパッケージってそんなに実績があるものなのかしらん?また、UI部分をSIerを使わずベンチャーを使って構築したのは正解だったと思う。ライフネット程度の規模だったら、スパイラル型開発モデルを使っても十分回るだろうしね。開発現場も少人数ながらも活気がありそうでうらやましい。基幹系とかの大きなプロジェクトに携わるのもそれはそれで楽しいけれど、小規模だけど活気のある開発現場が懐かしくもある。これは単なるない物ねだりなのか、どうなのか。自分が仕事を通じて得られる喜びはどこにあるのか、ふと考えてしまった。