超凡思考/岩瀬 大輔・伊藤 真

岩瀬氏・伊藤氏の師弟コンビによる一冊。
岩瀬氏・伊藤氏ともに、帯のコメントにある通り「『当たり前』を愚直にやりきる」ことの大切さを繰り返し説く。言われてみればごもっとも。でもそれをきちんとやりきることって、なかなかできることじゃないんだよな、とも思ったり。
そんな中で、私がいいなと思ったのはこんなこと。

  • 人の力を使う:自分だけでできることなんて限られている。すべてを自分で抱え込むよりも、上手に人の力を借りて、効率を上げる。
  • 専門性を武器に:誰にも負けない、ぶっちぎりの専門性を築く。どんなに狭いニッチな分野であっても、そこを極めれば、必ず道は拓ける。
  • 1対1のコミュニケーション:大勢の前で話す時も「あくまで1対1」であることを忘れない。マイクの有無や音量に関わらず、「会場の一番後ろのあの人に伝わるようにしよう」と思いながら、音の密度を高めるイメージの声で話す

専門性を武器に、というのは納得なのだが、それ以前に自分の専門性をどこに持つのかを考えなくてはいけなくて、それは結構重要かつ難しい問題なんだと思う。私が思うに、何を専門にするかには2つの軸がある。一つは自分がどれだけできるか(能力の問題)、もう一つは自分がどれだけのめりこめるか(情熱の問題)。能力は高いがやる気にならないのではダメだし、できもしないのに情熱だけあってもものにならない。大学からの流れでただなんとなく今の仕事をやっている・・・というのが最悪で、できれば20代、遅くとも30代前半くらいまでの間に一度だけでもいいから、自分は何を成す人間になるのか、一度は考えてみるべきだと思う。私は、38歳になって初めてそのことに気づいて、とてもよかったと思う反面、なんでもっと早く気付かなかったのだろうと後悔したものだから、他の人にはもっと早く気づいて欲しいと思うんだ・・・

また、「何が重要なのか、何が面白いのか。一番の核心から始める」という一節(P163)は、三谷宏治さんが「正しく決める力」の中で説いている『重要思考』ともつながるなと感じた。そういえば、三谷さんの新刊も読んで、他の本と合わせて日記に残しておかなければ!

繰り返しになるが、この本に書いてあることは本当に当たり前のことばかり。どのページを見ても「そりゃそうしたらいいだろうねー」と思うだろうが、それを本当に実行できるかどうか、実行し続けられるかどうかが、一流とそうでない人を分けるんだよね。一流の域には、届きそうでなかなか届かないのだけれど、決して届かないわけではない。必要なのは、常に学び、実行し続ける謙虚な心、というところだろうか。